装置系の概要(Experimental set-up) last update:2017/4

実験室は西早稲田キャンパスの51号館B1-19室にあります。
The lab is located at 51-B1-19 in Nishi-Waseda campus.

高強度超短レーザーパルスを安定に発生させるためには、部屋の温度制御・ 少ない振動・クリーンな環境・高安定な電源ラインが必要です。


温度制御クリーンルーム(0.1度制御、クリーン度300)


クリーンルームの外に、ポンプやチラー、高安定化電源などがあります。

レーザー装置



キャリアエンベロープ位相(CEP)安定化マルチパス増幅チタンサファイアレーザーシステム
Dual stage, Komodo-Dragon Ti: sapphire amplifier system.
7.3 mJ/pulse 〜 10.1 mJ/pulse, 1KHz, 35fs, 790nm, CEP stabilized.

初めてCEPが安定化した、KMLabs社のシングルステージアンプに、 近年、二段増幅器を増設したものです。
2018.12.16追記:
pump laser を換装して、パワーを増大させました。
compressor 前で13.5mJ/pulse, compressorのあとでmax 10.1 mJ/pulse (1KHz) を確認。調整次第でもう少しあがるかとは思います。
もうひとつ大きな出力のpump laser(高くて買えませんでした)を用いると、あと数mJ/pulseは増大できるかと思われます。

ちなみに、このシステムは"Red Dragon"と呼ぶのか"Komodo Dragon"と呼ぶのかですが、どちらでもいいそうです。
オシレーターはGriffinという名前だそうです(うろ覚えですが、、)


パルス幅圧縮および波長変換装置



高強度のレーザーパルスを気相原子や分子(近年では金属薄膜) に集光することにより、もとの波長よりも短い波長を持つレーザーパルス (高次高調波)を発生させることが出来ます。そのパルス幅はアト秒領域になります。

アト秒高次高調波には、(1)極端紫外領域のアト秒パルスが連なった アト秒パルス列(attosecond pulse train)と(2)元のレーザーパルスの1パルスに付き、 1回だけアト秒パルスが発生する単一アト秒パルス(single, isolated attosecond pulse)の 二種類があり、その両者共にアト秒時間領域の測定に使われています。 単一アト秒パルスの発生には、一般に高強度のキャリアエンベロープ位相が安定化した、 数サイクルしか電場が振動しないほど短いパルス(CEP-stabilized, few-cycle pulse,例えば5fs, 1mJ/pulse, 790nm)を発生させ、さらにレーザー電場の位相・偏光等を制御して、希ガス等に集光する必要があります。ここでは、レーザー装置から発生する35fsのパルスをファイバーを用いて、約5fsにパルス圧縮しています。

また発生する高次高調波の波長は、一般にもとのレーザーパルスの 波長が長いほど、より短い波長が発生できるため、790nmのパルスを 高強度光パラメトリック増幅器により、より赤外領域に変換する装置(OPA, TOPAS-C, Light conversion)があります。 この装置を用いると、高次高調波の波長が可変になります。
なお、上の図では1600-と書いてありますが、実際は1550nm程度までです(Signal光の場合)。

近々、OPAからの出力を二段階ステージによって増幅する予定です。

測定装置系



高強度のレーザーパルスを気相の原子や分子に集光し、 高次高調波を発生させます。発生した高次高調波などを測定対象となる試料にさらに集光し、 そこから発生した光電子の運動量をVelocity Map Imaging法で測定します。 試料を透過した高次高調波のスペクトル強度分布を測定するための光学系 (スペクトル測定装置)がその後ろにあります。また、スペクトル 測定装置は高次高調波発生の直後にもあり、いわゆる「高次高調波分光」 (high-harmonic spectroscopy)に用います。

アト秒の測定のためには、高次高調波と 赤外・紫外光などとを高精度・高安定(アト秒精度)で組み合わせる必要があります。 そのための新規開発・極端紫外光光学系を組み込んであります。

☆写真にはありませんが、さらに
・飛行時間差型・質量分析器
・飛行時間差型・光電子分光器
などを作成しています。

これらの測定系や(元々のレーザー以外の)光学系は、研究室で開発して作っているものです。
また元のレーザー系の内部の光学系も、適宜、改良や用途に合わせた改変を行っています。